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反復する教会火災のイメージから、アメリカ社会と宗教、国家の揺らぎを浮かび上がらせる話題作「Hell's Gates II: Retribution」。
教会が燃えている。
何百もの教会が炎に包まれ、広い礼拝堂は焼き尽くされる。ステンドグラスは砕け散り、尖塔や鐘楼、ドームは崩れ落ちていく。消防士たちは必死に消火活動を続けるが、巨大な炎の前では放水もほとんど効果がないように見える。
地元の人々や信者たち、偶然その場に居合わせた人々は、炎に照らされた赤い顔で呆然とその光景を見つめる。報道陣はより衝撃的な映像を撮ろうと現場へ駆けつける。そしてやがて建物は倒壊し、焼け跡は何日も煙を上げ続ける。
オーストラリア メルボルン拠点のパブリッシャー Knowledge Editions主宰/グラフィックデザイナー Tim Coghlanによる本シリーズでは、世界各地で燃える教会の写真を集めることで、宗教的なシンボルやイメージが持つ意味について考察しています。
過去作では、インターネット上から集めた低画質の写真やアマチュア写真が使われていましたが、今回の『Retribution』では映像から切り出した静止画を使い、2018年以降にアメリカ国内で起きた教会火災だけを集中的に取り上げています。
これはまるでハリウッド映画の続編のように、前作のテーマをさらに大規模に、さらに強烈に押し進めています。Timが描こうとしているのは、単に燃える教会ではありません。彼が見せるのは、アメリカ社会が信じてきた価値観や権威の揺らぎなのです。
かつて「特別な国」とされたアメリカでは、近年、政治的な分断や宗教的な過激化、暴力の拡大が目立つようになっています。そうした状況の中で、教会という権威や共同体の象徴もまた、絶対的なものではなく壊れやすい存在として映し出されるのです。
本作は燃え落ちる教会のイメージを通して、「国家」や「宗教」といった大きな象徴が崩れていく様子を私たちに見せています。そして鑑賞者は、その光景をただ座って見届けることになるのです。
224ページ / 120 × 192mm / Soft Cover / Published by Knowledge Editions & Perimeter Editions
Tim Coghlan: www.instagram.com/dotheknowledge
Knowledge Editions: www.instagram.com/knowledge_editions
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